これから日本は4つの景気循環がすべて重なる。: ゴールデン・サイクルII

２００３年、村田昌志氏の著書「景気予測から始める株式投資入門」を読み、景気循環に興味を持ち、鉱工業生産指数をフォローしたり投資セクターの分析にずいぶん参考にさせて頂きました。 たしか村田氏の上司にあたるのが嶋中雄二氏でした。２００６年の嶋中氏の著書「ゴールデンサイクル」は本屋で目の端に触れましたが、加熱する日本株投資ブームに警戒感がぼちぼち漂っていた時期でしたので手にすることもなく、その後２００８年のリーマンショックで忘れ去られて行きました。今回の本は再チャレンジの意味もあり、著者が自信を持って書かれたようです。前半のキッチン、ジュグラー、クズネッツ、コンドラチェフ、各景気循環サイクルの各章より第６章からのアベノミクスに関わる章が私としては興味があります。リーマンショック後の白川日銀を批判していますが、欧米に比べて金融セクターのバランスシート調整が進んでいたため、金融リスクが比較的小さかったので、日本では著者の求める大胆な量的金融緩和が必要でなかったと認識しております。また白川日銀の量的金融緩和時代に円安が進まなかった理由は、ベースマネーは日銀当座預金に「ブタ積み」になっていて、資金需要拡大が起こらなかったためと理解しています。 池田雄之輔氏が著書「円安シナリオの落とし穴」の中で修正ソロスチャートを使って解説しています。第７章、第８章で２０２０年東京オリンピック、パラリンピックまで日本は好景気が持続するというバラ色のシナリオを丁寧に説明されているので、これからも著者には注目して行きたいと思います。・・・ダニエル・コーエンは著書「経済と人類の１万年史から、２１世紀世界を考える」でコンドラチェフ・サイクルについてこう書いています。「景気の長期循環は社会が呼吸するようなものであり、そのこと事態に議論の余地はない。規則正しく一本調子で経済成長する社会は、これまでどこにもなかった。（略）戦争は経済成長期の末期に始まる。戦争へと駆り立てるのは経済成長なのだ。」