日経業界地図 2019年版

巻頭特集1は「平成『企業興亡』３０年史」でした。1989年の世界時価総額ランキングが掲載されており、そこでのベスト50の内、32社が日本企業でした。今では少し信じられないほどの隔世の感があります。そのトップ10に登場するメガバンクは全て合併しています。9位の東京電力も原子力発電の事故で大きく株価を棄損したのは記憶に新しいところです。巻頭特集2は「『業界研究』の基本」で、これは毎年、記述内容は違いますが、読者に何らかのサポートをしています。本書を使用するのは、主に就活生でしょうから、ここは必読箇所です。簡単な記述ですから、最低限これくらいは頭に入れておかなければいけません。要はこの業界地図の使い方と言う内容です。巻頭特集3は「世界No.1企業はここだ!」で、世界の有名企業が綺羅星のごとく登場しています。他業種も含めて、世界シェアの企業を知ることは、営業先での世間話のネタにもなりますし、外国株を購入したい向きには知っておくべきシェアでしょうから。日本企業のシェアが少しずつ落ちてきています。本題の業界地図は、「業界天気図」で現況の位置づけができます。その業界で売り上げ上位企業を掲載し、事業の特徴を簡単に示し、売上高、営業利益、従業員数、初任給、平均年齢、決算月など、基本的な情報が掲載してあります。業界全体の「基礎知識」と「最近の動向」は全業種で書かれているので、関心のある業種と当然読む必要がありますし、以外の業界もすぐに内容が理解できるように親切な編集がなされていました。具体的に見ますと、208pの見開きで「海運」の業界が示されています。日本郵船、商船三井、川崎汽船の御三家とでもいうべき業界のリーディングカンパニーが上に並んでいました。売り上げ規模の少ない他の企業も有望なところがあり、関心を持って眺めています。もっとも、米国と中国の貿易戦争とでもいうべき関税が落ち着かないとこの業界は厳しいですね。株価の動向を知るうえで、会社四季報は必須ですが、業界地図を知ることで、関心のある企業の今後の動向や、同業他社をイメージを知ることができ、幅広く業界を見ることが出来ます。