シェイクスピアのタバコ―紫煙とイギリス・ルネサンス (TASC双書)

シェイクスピア劇に何故タバコが登場しないのか。「十二夜」「ハムレット」「テンペスト」を通してその秘密を解き明かしています。序章（シェイクスピア劇にタバコが登場しない理由）と終章（「テンペスト」における新世界へのまなざし）の間の５章からなります。「十二夜」(2幕3場)の初演の台本には2幕3場に喫煙シーンが書き込まれていたが、タバコ嫌いのジェームズ一世即位後の１６０６年の書き換えの際に削除されてしまった可能性が高い、と著者は言います。新世界から渡来したタバコをパイプ喫煙で享受したエリザベス朝のイングランド人は旧世界の先駆けだったが、彼らがなぜそのように振る舞ったのかをシェイクスピア劇という鏡に映る姿を手がかりに解明している傑作書です。